◇三島由紀夫『禁色(キンジキ)』

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・119冊

📖『禁色』 三島由紀夫著 昭和39年4月30日発行 令和2年5月15日88刷 令和2年11月1日新版発行 令和3年12月20日4刷 687ページ 図書

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『禁色』の第一部は昭和26年1月から同年10月まで雑誌『群像』に掲載された

自分の記憶に残すためのあらすじ 2024/3/6

第一章 発端 P5 瀬川康子…19歳本に署名を頼む 檜俊輔…文豪老作家老醜65歳作品には不測の不安の不吉の不倫のあらゆる負数の美が描かれている 3度の離婚 メッサリーヌ(ローマ史上最悪の悪女狂気に満ちた皇妃)しか愛さない 南悠一…完全な青年完全な外面の美の具現、康子の友達 僕は女を愛せない 

第二章 鏡の契約 P44 「大丈夫です結婚おしなさい」人間は丸太ン棒とだって冷蔵庫とだって結婚できますよ 父同士が古い親友 悠一は22歳に達したこの新年に康子と婚約した 悠一の母は慢性腎炎 女中と三人暮らし 母の通帳は70万円から35万円に 俊輔は4,5十万を与える代わりに私の精神的な息子になり仇を討ってもらいたい

第三章 親孝行の結婚 P66 男を愛する人たちも大多数は結婚して父親になるという 彼らは細君1人で女に満腹している 1人で食事その時の給仕19か20歳おのが欲情のただよいを如実に感じた 結婚披露宴 俊輔は名誉ある珍客 モーニングと裾模様のありきたりな一組女のまことに気品のある物腰といくらか冷たい細面の美しさ決して笑わない澄んだ瞳 鏑木元伯爵の良人と美人局を演じて俊輔66歳から三万円を巻き上げた女 一度ゆっくりあのお婿さんとっは話してみたいわ 冷徹な女 向かい側のビルから痩せぎすの外人の車にこの間の給仕が駆け込む 嫉妬

第四章 夕まぐれに見た遠火事の効能 P79 結婚後はじめて学校に出る 俊輔から電話 君に引き合わせたい人がいる H公園はこの種族の集まり場 あれが親子よりも兄弟よりも妻よりももっと身近な僕の同類なんだ 絶望は安息の一種である 歩いて逃げ 石段で例のレストラン給仕に会う 憶えていますか 憶えてるよ 二人の手は握り合った 三時間は熱い瀑布(ナイアガラー)のように感じられた 少年は僕を捨てないでね やがて捨てるだろうと予感 英ちゃん 悠ちゃん 

第五章 済度の手はじめ P99 俊輔が夫人の盃に酒を注いだ 酒は溢れて夫人の羽織にこぼれた 悠一が白い手巾を出し拭いた 悠一は自分を軽薄だと 媚態(人にこびへつらう)ととられることを恐れた 夫人は俊輔に手紙をよこし とにかくあの青年には優雅というものがあります  慇懃(インギン=心をこめてすること)な無関心の印象に対する抗議であった  一週間延ばしさらに一週間のばすと君はあの女の上に恐ろしい権力をもつようになる 君は私に変わって済度(サイド=仏が迷い苦しんでいる人を救って悟りの境地に導く)するんだ 

第六章 女たる不如意 P110 鏑木夫人は傍らの良人を見た 十年来だだの一度も臥所を共にしない 夫人は工業倶楽部舞踏会に悠一夫妻を招く 俊輔が月齢舞踏会に現れる 俊輔を斥けて結婚した穂高恭子を探す シナ服の女 君はあの女と5曲続けて踊らなくてはいけない お世辞は笑顔が美しいと言ってやること 

第七章 登場 P138 有楽町の一角にあるルドンという喫茶店 店主はルディー 銀座界隈では20年からの古顔 客たちは扉をあけて入ってくる人があるたびに一せいにそちらを見た 入ってきた男子は一瞬のうちに視線の放射を浴びる 英ちゃんは大そう落ち着かない 硝子扉の方を見戍った

第八章 感性の密林 P146 一般的な美は最初の丁半に勝った 悠一は肉欲の視線のなかを泳いで行った 英ちゃんが悠一のそばへ来て彼の方へ身をすりつけた もう僕に飽きちゃったんでしょう 三人の外人 英ちゃん行きなさいよ旦那じゃないか 二日目からルドンの客は俄かにふえ 新顔を噂が囁かれていた

第九章 嫉妬 P167 俊輔から悠一とルドンで待ち合わせることを申し出た 小説家だったらこの店に興味が湧くだろうと僕も思う 俺といえば見るためにここにいる 間諜(スパイ)の肩身の狭さが俺にはわかる 間諜は欲望によって行動してはならない 男色というものは純粋な快楽に基調を置くものらしい 男色絵のあの眩いような奇矯な歪曲は純粋の苦悩の表現に違いない 男同士はいかにしても汚れ合えず相手を汚し合えない絶望にかられてあんないたましい愛の姿態を演ずるにちがいない 二人の外人の卓に悠一が呼ばれ 俊輔は嫉妬を自問自答し勘定といい立ち上がる あそこに靴屋があるだろう 恭子は7時に取りに来る 俊輔はむこうの小さな店でお茶を喫んでいるよ 

第十章 嘘の偶然とまことの偶然 P180 その日一日 穂高恭子は青竹色の舞踏靴のほかに考えることが何もなかった 今度どこかでゆっくりお話しが電話をさしあげてもいいこと? 奥様はお仕合せね あなたは大変な奥様孝行なのね 雨がふり 恭子はタクシーで帰る 靴を置き忘れる 偶然に鏑木夫人に会い仕立て屋へ 康子は学生の美しい石鹸売りに この事件は康子にとっては記念すべき事件である

第十一章 家常茶飯 P204 二人は高名な婦人科医の自宅を訪ねる おめでとう奥様は妊娠二ヵ月です ご結婚当初に受胎されたわけですね 俊輔を迎えて立上がる悠一の姿を出窓でみたとき老いた芸術家はほとんど戦慄した かれの心がたしかにこの美青年を愛していると感じたんのである 僕はなりたいんです現実の存在なりたいんです 僕は秘密に疲れたんです 夢の中で俊輔を殺していた

第十二章 Gey Party P237 クリスマスの予定 大磯の山の手の或る家で開かれるGey Party 僕は廉い献身的な玩具だ ジャッキーがそばへ来て ねえ悠ちゃんぜひあんたに会いたいという人が来るんだよ昔からの知り合いだから邪険に扱わないでね ホープという源氏名 鏑木伯爵であった

第十三章 慇懃 P247 鏑木信孝は自分の年齢を知っていた 男色家の地獄は女の地獄と同じ場所にある すなわち老いである この夢のような合体の感じを平易に説明することはできない 

第十四章 独立独歩 P267 歳が改まった 悠一は23歳康子は20歳 会長秘書になる鏑木夫妻が来る 5人はハイヤーで銀座の料理屋へ行った

第十五章 なす術もしらぬ日曜 P277 信孝のことをあのお人好しの年寄俊輔に隠しておくだけでは物足りない今行って彼にぬけぬけとした嘘をつくたくなった 彼らはルドンで待ち合わせた 今晩京都へ一緒に来ないか 

第十六章 旅のあとさき P297 鏑木夫妻は突然悠一の旅立ちをきくに及んで 二人を追っかけて京都へ行ってみるかね 俊輔は夫人をじっと眺めて 美しかったがおそろしく魅力がなかった この女はまるで醜い老嬢のやるようなへまをやっている むかしあなたの旦那様がこんな風にしてわれわれの寝室へ入って来たんだ と俊輔は言った

第十七章 心まかせ P312 到底俺には復讐の力さえなさそうだもう復讐の力もなくなったのだ 俊輔は今のみちたりが気持ちをどう表現してっよいかわからなかった 険しい気持ちの時に考えた「悠一に恋を打ち明けよう」と言う試みがいかに狂おしいものであるか思いたった 鏑木がノックして部屋の中へ シガレットケースを忘れまして 恭子と並木と悠一 並木さんはただのお友達なのよ 

第十八章 見者の不幸 P327 悠一の試験がすんだ 夫人が出て間もなく 信孝から電話がかかった 悠一は精神的に残酷だった 二階へ行こう 夫人は足音をひそめて階段を上り良人の書斎の前に立った 鍵は外れて刺さっている 夫人は当然見るべきものを見たのである 三日たった 鏑木夫人は帰らなかった

第十九章 わが相棒 P342 そうなんだわれわれは見られたんだ 鏑木夫人の厚い書状が届いていた 俊輔は威風堂々たるところがあった 僕は鏑木夫人を愛していることがわかったんです 

第二十章 妻の禍は良人の禍ワザワイ P370 俊輔の莫迦笑にはしかも嘲罵もなければ朗らかさもなく この世に肉感のほかの感動はないことをどんな思想も観念も肉感をもたないものは人を感動させない じゃあ 去年の夏海ではじめてお目にかかったときもですか? 俊輔は愕然とした 俺はこの美しい青年に肉感を感じているのではないか と彼はぞっとして考えた なるほどねえもしかすると君は本当に鏑木夫人を愛しているのかもしれない 自分の身から皮を剝ぐような思いで言った 嫉妬していたのである 相思相愛の唯一の事例 僕は鏑木夫人を愛してなんかいません ルドンに河田弥一郎 50恰好 無髭 縁無眼鏡 俊輔に先生と 旧友 俊輔が帰り悠一は鏑木信孝とレストランで会う 信孝は1人で京都っへ発とうと思った

第二十一章 老いたる中太 P398 信孝はあの家を母屋の旅館へ別館として売る契約を結んだのち京都へ発った 河田の自動車で二人はくろはねへ 河田 さて今晩私は鎌倉へ行って泊まります 俊輔はそうですか じゃぁ先生僕河田さんに附き合いますからすみません家内へ電話をお願いします 俊輔はほとんど苦悩に達していた 

第二十二章 誘惑者 P412 悠一の学生生活の最後の一年が始まろうとしていた 恭子が悠一と待ち合わせ 一カ月半 あなた時計を遅らしたのね 穂高恭子は暗闇の中に目がさめた 骸骨と共寝をしていたと感じた 消しなさい眩しいじゃないか 悠ちゃんはどうしたの ああ醜い 夜が明ければ彼女は良人の家へかえるだろう  

第二十三章 熟れゆく日々 P447 滑りやすい土の上に康子は転倒した 悠一は康子を床に寝かせ医者に電話をかけた 明くる日 胎児は又母の内側をその強い足で誇らしく蹴った 

第二十四章 対話 P454 康子さんのお産に君が立ち会うだけのことさ 

第二十五章 転身 P468 かつて僕は康子のために生まれかわりたいと願ったではないか お嬢さんですよ 

第二十六章 酔いざめの夏の到来 P484 生まれた子は渓子と名付けられ ジャッキー 悠ちゃん最近何かあったのかい? 女房が子供を産んだのさ こいつはいい ジャッキーは大笑いをしグラスの縁を打ち合わせて悠一の娘のために乾杯した 悠一は河田を利用しようと考えるにいたった 悠一が来たら三人で車で逗子のヨットハーバーへゆき河田のヨットに乗る約束が俊輔とも出来ていた 悠一君は変わったね とにかく辛いことだが私は当分悠ちゃん君に会うまいと思う 

第二十七章 間奏曲 P530 渡辺稔は17歳である アルバイト先の店主福次郎に大そう気に入られた 稔の伯父に養子にもらいたいと 稔の姓は本田になった 上野公園で悠一と会う 二人がすごす一夜は神話的な夜になった 本田福次郎ははじめて稔を疑うようになった 福次郎は悠ちゃんの身許を質した 鏑木伯爵 河田とのこと 姻戚関係から住所 電話番号 卑劣な手段をあれこれと思いめぐらした

第二十八章 晴天の霹靂 P552 彼女母は二晩にわたってルドンへ悠一が姿を現すのを待ち構えた 恐ろしい匿名の手紙は康子にも 新聞はもう好加減でお止めなさい 私達のところへこんな手紙が来たんだだよ ともかく僕は康子を愛しています 少なくとも僕は今全然退屈していない! あたくしあの手紙のこと何とも思っていませんわ 稔と福次郎の家へ10万円を変えす 喜びを完結するために無意味な安いセルロイドの鉛筆削りとペン先を買った

第二十九章 機械仕掛の神 P587 上品な話題ではなかったからである 鏑木夫人 しばらくね 何事が起ったの? 美しい息子が女にもてることは彼女母の道徳観からすれば善であった 母親はあなたって男妾のような考え方をするんですね そうですよあの人の云った通り僕はあの人の男妾です

第三十章 雄々しい恋 P609 夫人と悠一が発ったのはその晩11時発の夜行である 二人のあいだに塵ひとつでも動かないように気をつけなければ 眠りに落ちた この雄々しい試練は功を秦した かくも高貴な恬淡な友情の持ち主に対する感謝に充たされた 

第三十一章 精神的及び金銭的諸問題 P621 東京へ帰った悠一は 母の腎臓病が悪化していた 康子は少しも笑わなかった それは別の女だった もう言葉は通じなかった 自若(じじゃく=重大事に当たっても、落ち着いていて、心や態度に少しの乱れもないさま)していた 精神的な聾啞者になった 悠一は母親の顔に死を見た 河田はお母さんの見舞金を君に上げよう 50万円 悠一は俊輔の呪縛を感じた まず50万円を俊輔に返さなければならぬ 数日後予告もなしに俊輔の家をたずねた

第三十二章 檜俊輔による「檜俊輔論」 P648 自伝的な評論を自ら・・・

第三十三章 大団円(ダイダンエン=全てがめでたく収まる結末)P666 書斎の一角にはようやく完結した檜俊輔全集20巻が並んでいた どうだい現実はどうだったねお気に召したかね 「何故君はそんなに美しい?」 そうして 美とは いいかね ・・・

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